写真はsheriff.co.jpさんからの提供(WA-GMにMil-coat加工を施した商品)
ご存知のように、FBIの正式拳銃はプリングフィールド社の1911ビュロゥモデルです。数年前の調達トライアル時には世界でも有名なメーカーが参加しました。
FBIの調達基準はそれは厳しく非常にハードルの高いものでした。なにしろ、米国民の税金で購入するのですから、それと局員の生命を守る為、安易な妥協は許されないのです。FBIが要求したその中に、「メンテナンスの容易さ」というものがありました。
この、「メンテナンスの容易さ」をどう解釈するのかが問題でありました。多くのメーカーは、「通常分解の容易さ」を主張しました。スプリングフィールド社 は、「メンテナンスの容易さ=オイルレスと高い耐久性能(錆びない)」と解釈しました。結果は正式採用となったわけです。
これは本当かどうかわかりませんがこんな話が聞こえてきました。多くのFBIエージェントはスーツ姿で勤務しています、腰に吊っ拳銃から油が漏れて白いシャツやスーツを汚してしまうのを嫌ったという説があります。
当然、MIL-COATは、軍事産業が指を咥えてほっておくようなことはありません、すぐさま、軍事に転用したの は言うまでもありません、戦闘機、戦車、ミサイル、小火器等々に転用されていきました。 実は、小火器に採用される場合には、種々の問題がありました、技 術的な問題もさることながら、企業間の問題が発生し、遅れに遅れました。米軍がM16やM4ライフルを製造しているわけではありません、認定された銃器製 造メーカーが米軍ペックマニュアルに従って製造しているのです、そこである日振って湧いたように「新しいコーテングをせよ」指令がくると当然問題が発生し ます。 どのように、解決されたかは、後日記載いたします。
とにかく、特殊部隊から採用することに落ち着いたのです。
1989年、最初のトライアルは海軍特殊部隊ネイビーシールズでした、くしくも湾岸戦争の勃発一年前でした。
ご存知のように海中作戦、敵前上陸を得意とする精鋭部隊です。M16は主な素材としアルミアーロイとステンレス、樹脂の構造体ですが海水による腐食や劣 化、砂、泥による内部パーツの損傷、特に海水によるオイルの散逸は問題でありました。真水による洗浄と乾燥、注油等など面倒なメンテナンスが要求されてい たのです。
MIL-COATの採用により、メンテナンスフリーとなり上記の問題は全て解決し、作戦遂行のみに注力することができたのです。
※MIL-COATは現在のデュポン社の民生用商品名で、スプリングフィールド社、その他の大手銃器メーカーから様々な名称で販売されています。
機能に関しては、90年当時から現在まで多数の改良を重ねられ最高の品質基準となっています。
米軍採用品はコードナンバーで管理されています。