官公庁に特化したセキュリティ用品の開発実務。
● 国産初の官公庁向け安全性を有した催涙剤噴射装置の開発。
2009年、法務省の依頼で安全な催涙スプレーの開発が始まりました。人体に後遺障害を残さない成分を使う必要があり、開発費も無い中での挑戦でした。海外製品の成分分析や、製造基準をクリアする為の工場を見つけるなど、知人の研究者や友人等の多くの人々のご協力のお陰で様々な困難を乗り越え、国産初の安全性を有した催涙剤噴射装置の開発のお手伝いをさせていただきました。
● 他社の催涙スプレーと比較して。
1.安全性: 開発された催涙剤噴射装置は、人体に後遺障害を残さない成分を使用しており、安全性が高いのです。 他の製品や海外製品の中には、安全性が担保されず、また確認されていないものも多数あります。
画像は黒に赤文字は2011年初期製造品/黄地色は現行品)
2.成分の透明性: 成分の分析が徹底されており、使用されている成分が明確にされています。 これにより、使用者は安心して使用できます。
3.品質管理: 日本国内の厳しい製造基準をクリアしており、品質が安定しています。 官公庁向けの製品は、さらに高い基準が求められます。
4.効果: 催涙剤噴射装置は、効果が高く、短時間で相手を無力化することができます。これにより、緊急時に迅速に対応できます。
5.使用感: 操作が簡単で、パニック状態でも使いやすい設計になっています安全装置機構も搭載されており、誤噴射を防ぎます。
これらの特徴により、開発された官公庁向け催涙剤噴射装置は、他の製品と比較しても非常に優れた警備用品となっています。
(催涙剤噴射装置の一般市販はされておりません)
官民が使用できるセキュリティ装備品の開発実務。
実は創業以来、セキュリティの部門は水面下で推進してきました。
ミルコートジャパンの前身は「モデルガン」「エアーガン」等の企画開発や製造が主な業務でありました、もちろん「猟銃等販売事業」「猟銃等製造事業」官公庁の許認可をいただきライフルや散弾銃の販売も行ってきました、その間、数々の特許や実用新案も取得し技術レベルの向上を図って参りました。
培った発射技術を応用したカラーボール発射機を開発し、民生用セキュリティ用品「マークペット」という商品を生み出しました。
現在も銀行、郵政等の多くの金融機関や官公庁に採用されています。
さて、「マークペット」という商品について簡単に解説させていただきます。
では、マークペットとは、どんな商品か。
いつ、つかうの?用途は。
「マークペット」は突然の強盗・車上狙い・泥棒などオフィスや、お店に侵入した場合、速やかに「逃走車両や逃走する犯人の背後」に向けて発射することでカラー着色剤をマーキングし、「犯人の特定を補助」するための防犯用具です。実はこの「マークペット」グッドデザイン賞に輝いています。
その形状や重さは。
「マークペット」は、簡単な構造で小型軽量で、マーキングボールの高精度な投擲を実現しながら携帯が可能な超小型マーキングボール発射装置なんです。
カラーボールが犯人に当たり、被識別剤が付着した犯人が移動した場合でも、この犯人の発見、識別を容易に行うことがでる、超小型マーキングボール装置です。
犯人の発見、識別を容易に行うことがでる、超小型マーキングボール装置です。
優れた識別技術
犯罪者の特定に大いに寄与する、画期的な技術
また、マーキングボール内に充填されている被識別剤は複数種類の成分が含まれていま。
被識別剤の構成成分としては、例えば磁気センサの役割を果たすフェライト等の磁性体、明るい場所では蓄光して暗闇で光を発する蓄光塗料、紫外光を発するブラックライト等に反応して光る蛍光塗料、および特定の香りを有する香料等の成分があります。この特定の香りを有する香料としては、例えば、訓練された犬等の動物には匂いを感じることができるが、人には匂いが感じられないといった特性を備える香料等があります。
これらの被識別剤の構成成分としては、通常人間の五感ではその存在を感じ取ることが難しいが、特定の条件が揃うとその存在を発見、識別することができるものが好ましく、このような成分を用いることでマーキングボールにステルス性を備えさせることができます。
つまり、識別対象に被識別剤が付着した場合、例えば昼間の屋外の場所等では識別対象に被識別剤が付着していることを認識することができないが、識別対象が磁気検出器や紫外光発生器の近傍を通過したとき、または暗闇の中に侵入したとき等に被識別剤の付着を認識することができたり、匂いを感じる動物等が反応したりする特性を付与することができるものです。この技術は特許申請されています。
進化する細分類の識別技術
当該識別技術は10年以上前、既に私が特許取得済である。
マーキングボール内に充填されている被識別剤に含まれる複数種類の成分の含有率を、マーキングボール毎に変化させることで、マーキングボール発射装置とマーキングボールとを対応付けることが可能となります。
例えば、被識別剤が5種類の異なった成分A・B・C・D・Eを含んでいる場合、各成分A・B・C・D・Eの含有率をそれぞれ5水準の含有率に異ならせると(成分Aについては含有率a1~a5、成分Bについては含有率b1~b5、成分Cについては含有率c1~c5、成分Dについては含有率d1~d5、成分Eについては含有率e1~e5)、3125通り(5(成分)の5(水準)乗=3125)の異なった成分の含有率のマーキングボールを構成することができます。例えば、あるマーキングボールは被識別剤を構成する成分が「A(a1)+B(b1)+C(c1)+D(d1)+E(e1)」であり、別のマーキングボールでは被識別剤を構成する成分が「A(a1)+B(b2)+C(c3)+D(d4)+E(e5)」となる。なお、ここで、X(x1)は、成分Xの含有率がx1であることを意味しています。
そして、前記データベースには、マーキングボール発射装置1に装着されるマーキングボールの構成成分率と、そのマーキングボール発射装置に付与されている固有の識別記号とが対応付けて記憶されています。また、各マーキングボール発射装置がどの場所に設置されまたは誰が携帯しているかの情報がデータベースに記憶されています。
さらに、各マーキングボール発射装置に装填されるマーキングボールの成分含有率を、マーキングボール発射装置の配置場所や地域に応じて異ならせています。
これにより、識別対象に付着している被識別剤が充填されていたマーキングボールが、どのマーキングボール発射装置から発射されたかを特定することができるのです。
さて、発射機本体に話をもどしましょう。
当該発射機「マークペット」は非常にシンプルな構造で、炭酸ガスをパワーソースとし用いられています。
構造的にはU字構造になっており、ファイヤリングブロックが炭酸ガスに激突しガスが噴き出すエネルギーを利用して3発のカラーボールを同時に発射します、このファイヤリングブロックの先端構造も特許の一つです。
非常に賢い構造で、炭酸ガスを一気に噴き出させるシステムとなっています。
また、U字構造は、従来にない画期的な構造を有しています、アイデアの源泉はブルパップの銃器構造を応用したものであります。
三発のボールは射程距離10mでは、犯人に向けてやや拡散するように仕組まれています、そのため広範囲に識別剤が付着するので発見が容易になるのです。
また、レーザー装置が組み込まれていますので、犯人への照準補足にも大いに役立っています、誰でも簡単に当てられるというのも大いにうなずくことができます。
以上が簡単にマークペットの構造のお話でした。
このような画期的な構造を備えた「カラーボール発射機」が10年以上前に開発され、販売されたことはあまりにも世間に知られていません。
なぜならば、この「マークペットカラーボール発射機」は、特殊な機関や法人のみに販売されたからです。
民生用品から公官庁用途への転換
マークペットは民生用防犯機器として開発されました。
このホームページにも投稿した「独自性から発想するプロダクトアウト」にも書かせていただきましたが、どんなに優れたアイデアであると思っても、全く省みられないということもあるのです。
同じ技術であっても、考えていたのとはまったく違う応用方法を見出すということも多いのです。
「顧客ニーズ」と「自社の強み」をいかに合致させるか、そこに知恵を絞っていくことこそ、新たな商品開発のヒントが隠されているとおもうのです。
さて、話が本論からややそれましたが、マークペットは民生用防犯機器が新たな用途に転用できることは開発者として当然考えているのです。
12年前のある日、一本のお電話から話が展開してまいります。
それは民生用機器から公官庁用途への転換の瞬間でした。
人身を一時的に無抵抗状態にするための薬剤と装置とその開発が当社に課せられた任務でありました。
安全に使用でき、後遺障害が残らず、数十分で効果が減少するパウダーとその装置の開発がスタートしました。
先方の希望とその仕様について何度も打ち合わせした結果、現用の民生機器であるマークペットの改良版を使用することとなりました。
利点として、開発が完了しているため僅かな仕様変更で済み、時間と開発コストが大いに軽減されました。しかも民生機器であるマークペットは先方の要求性能をクリアしています。
同時に開発されたのが「人身を一時的に無抵抗状態にするための薬剤」でした、某製薬会社と大学研究室と弊社のコラボが機能し開発が一定のレベルに達した時、薬剤を収納するカプセルの生産が暗礁にのりあげたのです。
問題は球形の樹脂カプセルの外皮の厚さでした、0.2mmの被膜が難関で、しかも半球形のカプセル同士の篏合部分の制作でした、何度も金型の修正を繰り返しやっと完成したのが3ケ月後でありました。
あれから12年、ウイスキーなら熟成の極みとなる年月ですね、
現在も納品された「官庁用マークペット」は現用で有効に活用されています。
ただし、修理や調整、部品交換も私が自ら行っています。
なぜなら、私が生み出した商品だからです。